natsunokaのブログ

夏の蚊🦟

バ先の愚痴

俺は24歳のフリーターだ。

正確に言えば、モデル事務所に入って、その仕事以外の時はバイトに明け暮れている。

夢追いかけ系男子をやらせてもらっている。

結果金なさ過ぎて毎月鬼の火の車な訳だが、バイトも仕事なのでしっかり取り組んではいる。

一つはバーテンダーだ。

お客様の要望通りお酒を提供し、会話に興じて、より飲んでいただけるように画策する仕事と言って差し支えないだろう。

二つ目はブティックのドアマン兼警備だ。

ブティック?と思う方もいるだろう。所謂高級ジュエリーショップだ。カルティエやヴァンクリーフ、それ以外であればフェンディなども請け負っている会社に非正規雇用で務め、基本的にヴァンクリーフのドアマンをさせていただいている。

タイトルにあるが、愚痴を書かせていただきたい。その愚痴は一つ目のバーの方だ。

俺はお酒をよく飲む。酒豪というほどでもないが、全く飲めなかったり「弱い」という部類でもない。人並みより少し上くらいだが、好きでよく飲む。

とある街のバーにふらっと1人で入ったのだが、オーナーは非常に端正な顔立ちで身長も高く、作る酒は絶品だった。今でも覚えているが、モスコミュールを頼み3、4杯飲んだ記憶だ。

元々バーテンダーという職に興味があり、その時にもオーナーに「バイトする?」という誘いを受けたのを覚えている。結局流れ流れてカフェでアルバイトを始めた。一年そこそこで潰れてしまったので僕は結局またただの夢追い人に戻ってしまった。そこでインスタのストーリーズでバイトを探していると言った旨の投稿をした。

そうするとそのバーのオーナーから働いてみないかというお誘いを受け、面接に行き、働き始め今に至る。

今日はそこであったとんでもない話だ。

 

オーナーは水商売に生き水商売に死ぬような人だ。それは火を見るより明らかだ。

ホストも経験して、本人はバイセクシャルなのでゲイバーも経験して巡り巡って今の店になっているわけだが、それこそ裏の社会も多少噛んでいたんだろう。

とある日に新人が入った。

めちゃくちゃ急でなんの相談もなかったのでこれは何か裏があるな〜と思っていたら案の定だ。

そいつは6000円だけ持って妻子をおいて東京から大阪まで来た。腕には筋彫りが見える。

「あーやってんなこれ」

状況を察するのに1分もかからないもんだ。

オーナーはちょうどそいつが店から出たときに、その子について話してくれた。

多分すぐ飛んでしまうこと、知り合いの知り合いだから家に泊めていることなどだ。

「まぁーーーーーーーヤクザがらみだわなこんなん」って感じだった。

そしたら本当にすぐいなくなった。

予想通りだし面倒ごとが起きる前にいなくなってくれてそれはそれで良かったのだが…

数日経ち、そいつのことは気にしなくなった頃、体調悪そうにしていたオーナーと仕事終わりにご飯を食べに行って、体調不良のことも考え割とすぐに解散した。

 

そこで事件が起きる。

 

翌日からオーナーと連絡が取れなくなったのだ。

皆往々にして取り乱していた。連絡が取れないため家に直接伺う者もいた。

 

しかし音沙汰なし。音信不通とはこのことだ。

そうこうしているうちに先輩の1人がオーナーの母親と連絡を取るようになった。

先輩曰く、その母親は状況を知っているようで、探さないで欲しいこと、いまはそっとしておいて欲しいこと、警察等に連絡をしないで欲しいことなどさまざまな話を聞いた。

とは言え、オーナーのことを心から信頼していた僕は心配もあったが信頼の方が上回っていたので、飛んだらするなんてことは地球が千回ひっくり返ろうともあり得ないと考えていた。

 

20日ほど経った日、オーナーから連絡が来た。

心底安心した。

 

やはりヤクザがらみだった。

ここから書くことは嘘みたいな本当の話で、漫画だろ?と思われても仕方ないことだが事実だ。

 

食事をしてオーナーと解散した日。

その日に例の新人を東京から追いかけてきた下っ端2人に家の近くで絡まれたのだった。

どうやらかなり威圧的にしつこく新人くんの居場所を聞き出そうとしており、本当に連絡がつかなくなりどこにいるかなど全く知らないと言ったがそれでも耳を貸さず、脚を蹴ったりしてきたらしい。

 

普通の人間であればチンピラといえど2対1だし、分が悪いことなど当然に理解できる。それこそ、歩けば前に進むくらい当然のことだ。オーナーは体調不良のため酒を飲んですらいなかったが、穏便に済ますという選択肢をとらず、頭に血が上りキレ散らかしたらしい。

 

普通ならキレたところで何になるのか?という感じではあるがオーナーはその2人をボコボコに返り討ちにしやがった。相手は打撲に骨折までしたらしい。何言うてんやって感じだ。

しかし、オーナーは尼崎の元ヤンかつ空手でかなりいいところまで行った人だった。加えて182cmほどの高身長だ。

 

怖い。

 

デカくて強くて怖い。

 

加えて当時の服装はあまり覚えてはないがビールブーツを履いていた。喧嘩慣れしたチンピラ2人に勝てるかよ普通。

 

怖いだろ。

 

嘘にしか聞こえないが、実際それで逮捕に勾留されたのだから信じるほかない。ボコボコにした挙句どこにも通報しなかったので罪状は殺人未遂。所謂、未必の殺意があったとの見解だろう。

殺人未遂から傷害に切り替わったのかどうなのかとかは当事者ではないからわからないが、示談金500万円払って事なきを得たと言う。

 

すごく壮絶な話だったが、ここからが愚痴だ。

普段の出勤は週3〜4くらいが常なのだが、そのくらい働けば平均しても8〜9万程度は給料が入る。

オーナーが休んでいた期間に鍵は先輩に預けていたし、発注元も発注方法もオーナーしか知らないため営業は不可能だった。

 

オーナーが復帰してこれからも頑張ろうと一緒に話し、4日程ぼくはオーナーと共に働いた。

その月のオーナー原因での休みが20日ほどあったと言うのにもかかわらず給与が44000円だった。

示談金やら何やら大変でしたでしょうがそらぁないぜ、、